『泥棒は哲学で解決する』 ローレンス・ブロック


 

1980年発表の泥棒バーニイシリーズ第四弾です。

「夫婦で遠出のため今夜は留守にする」
犬のトリミングサロンを営む友だちのキャロリンが客から得た情報を信じない手はなかった。その夜、客の邸に忍び込んだバーニイとキャロリンが見たのは、すでに手荒に物色された室内だった。先客がいたのだ。しかし、シロウト泥棒では歯が立たなかったとみえて、手つかずのまま残されていた精巧な壁金庫から盗みだした一枚のコインは、なじみの故買屋エイベル・クロウでさえ値踏みをためらうほどの稀少コインだった。
キャロリンが現場に残したちょっとした手がかりから、翌日早々に嫌疑をかけられたバーニイだが、そこで知らされたのは当夜は旅行に出かけていたはずの邸の主の妻の死だった。なんとか容疑をまぬがれたのもつかの間、今度は稀少コインを預けたエイベル・クロウも殺されるに至っては、みずから真犯人を挙げなければならないハメに。

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登場人物の間でかわされる軽妙でテンポのいい会話はこのシリーズ作品に欠かせない良質の潤滑油だ。ときおり控えめに披露される高い知性と意外な博学に感心したかと思えば、適度に艶っぽいが決して品下がることのない洗練されたオトナの会話に思わずニヤリとするのです。

本格派黄金期の諸作品にみられた緻密なまでのトリックや巧妙に仕組まれた伏線をこの作品に期待してはいけません。それはないものねだりというものです。この作品の持ち味は、軽快な会話にのって次々に展開されるスピード感あるストーリー、それにひとまず誰もがハッピーになれる洒落た結末にあるのです。加えて決して読者を飽きさせないサービス精神、それらがこの作品のウリと言ってもいいでしょう。


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atmos-nwp の紹介

主に50~80年代の海外ミステリーの紹介を兼ねて読後感を綴っています。本格、倒叙、ハード ボイルド、冒険、スパイ、安楽椅子、ユーモア系等ジャンルは問わず読み散らかしてきました。ときには散歩の道をそれて50~70年代のモダンジャズやスキー、バラ園芸にもふれています。HP「気象と気候値のページ」も運営していますので、興味のある方は一番上のタイトルの下にある<気象と気候値のページへ>をクリックして是非お立ち寄り下さい。
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