『ウィンディ・ストリート』 サラ・パレツキー


去年の話をしても鬼は笑うまい。カブスが108年ぶりのアメリカ大リーグ優勝に輝いた。有名な「ヤギの呪い」が解けたのだ。
カブスといえばシカゴ、シカゴとくればV.I.ウォーショースキー、いわずと知れたサラ・パレツキーのヴィクシリーズだろう。そして作品はといえば、シカゴの愛称”Windy City”(風の街)にちなんで『ウィンディ・ストリート』にしてみようか(原題は”Fire Sale”)。
いつものように本筋からそれるが、『バーニング・シーズン』にこんなくだりがある。

「彼は(シカゴ・ホワイト)ソックスのファンでしょ。うまくいきっこないわ」

ご承知のとおり大都市シカゴにはもうひとつアメリカ大リーグの球団ホワイトソックスがある。もしあなたがホワイトソックスファンだったならゴメンなさい。だけど、文句はサラ・パレツキーにお願いします。ヴィクを熱烈なカブスファンに設定したのは彼女なのだから。

ウィンディ・ストリート (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 2-19)

著者/訳者:サラ・パレツキー

出版社:早川書房( 2008-06-06 )

定価:

文庫 ( 633 ページ )

ISBN-10 : 9784150753696

ISBN-13 : 9784150753696


さて、本題の『ウィンディ・ストリート』にもどります。

二度と戻らないと誓った故郷サウス・シカゴにもどったのは、不治の病を得た恩師の頼みで母校の女子バスケット部の臨時コーチを務めるためだった。不況にあえぐ町の窮乏ぶりに心が痛むなか、ヴィクは生徒の母親が勤める町工場への嫌がらせ行為の調査を始めたが、やがてそれは弱者を搾取する巨大企業との対決に。

警察官だった父も、病気の母も、そして兄と慕った従兄弟もこの地で死んだことが語られる冒頭の数行が印象的だ。

サウス・シカゴへもどるというのは、わたしにとってはつねに、死の世界へもどっていくようなものだった。わたしがもっとも愛した人々、子供のころに人生最初の強い絆で結ばれていた人々のすべてが、市の東南部に位置するこの見捨てられた地区で亡くなった。

かつては五大湖工業地帯の中心として鉄道・航空・海運の一大拠点であったシカゴにも、製造業の衰退とともにいまは翳りがみえ始めている。人口270万人にのぼるアメリカ第三位の都市シカゴの地区別の暴力犯罪件数を示した下図をごらんいただきたい。犯罪多発地区は総じて南部に多く、北部三分の一は比較的安全な地域のようだ。言いかえれば不穏で物騒な下町(ダウンタウン)と閑静な山の手とでもいった構図だろうか。ヴィクが生まれ育ち、愛し、そして憎むサウス・シカゴは東南部のミシガン湖に面した地区で、黄色く塗られた少し物騒な所らしい。

地区別の暴力犯罪件数(出典: Wikipedia)

地区別の暴力犯罪件数(出典: Wikipedia)

と、ここまで書いたところで白状しますと、まだ読み終えていないのです。
そんなわけで、まことに中途半端ながら今回は筆をおくことに。


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主に50~80年代の海外ミステリーの紹介を兼ねて読後感を綴っています。本格、倒叙、ハード ボイルド、冒険、スパイ、安楽椅子、ユーモア系等ジャンルは問わず読み散らかしてきました。ときには散歩の道をそれて50~70年代のモダンジャズやスキー、バラ園芸にもふれています。HP「気象と気候値のページ」も運営していますので、興味のある方は一番上のタイトルの下にある<気象と気候値のページへ>をクリックして是非お立ち寄り下さい。
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