『新・幻想と怪奇』 仁賀克雄編


以前読んだ『幻想と怪奇2』がとてもおもしろかったので、神田の古書店をのぞいた際に『新・幻想と怪奇』を買い求めた。
『幻想と怪奇2』は早川書房編集部となっているが、実際は当時EQMM編集長だった都筑道夫の個人編纂といってもいいらしく、粒ぞろいの作品が並んでいた。本書『新・幻想と怪奇』は仁賀克雄という方の編纂だが浅学にしてこの方を存じ上げないし、収録作家も未知の名ばかりだった。

新・幻想と怪奇 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1824)

著者/訳者:ローズマリー・ティンパリー他

出版社:早川書房( 2009-05-08 )

定価:¥ 1,512

Amazon価格:¥ 1,512

新書 ( 268 ページ )

ISBN-10 : 4150018243

ISBN-13 : 9784150018245


巻頭のローズマリー・ティンパリー「マーサの夕食」は、何ひとつ欠点のない妻との生活を送りながら毎週末ひそかに愛人とのアバンチュールを愉しんできた男があじわう結末を描いたブラックストーリーだ。この手の短編としてはロアルド・ダールの『おとなしい凶器』があるが、そのさらに上をいくゾクッとするような戦慄をおぼえさせる。この作家は編者のお気に入りらしく、もう一作「レイチェルとサイモン」という作品が巻末にも収められている。

個人的な好みでいえば、アンソニイ・バウチャー『ジェリー・マロイの供述』だ。ジェリイ・マロイと名乗る男は、高名な腹話術師ユージン・デイキンとその妻の愛憎の果てまでを穏やかに語るのだったが、はたしてジェリイ・マロイとは一体何者なのか?。トリッキーでありながらほんの少し温かみさえ感じさせるような奇妙な味の作品に仕上がっている。

 


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主に50~80年代の海外ミステリーの紹介を兼ねて読後感を綴っています。本格、倒叙、ハード ボイルド、冒険、スパイ、安楽椅子、ユーモア系等ジャンルは問わず読み散らかしてきました。ときには散歩の道をそれて50~70年代のモダンジャズやスキー、バラ園芸にもふれています。HP「気象と気候値のページ」も運営していますので、興味のある方は一番上のタイトルの下にある<気象と気候値のページへ>をクリックして是非お立ち寄り下さい。
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